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放射線豆知識

 

 

放射線豆知識

  このページの項目 

 

・放射線とは

・主な放射線とその特徴

・放射線の強さや量の表し方

・放射線を測定する方法

 

 

 放射線とは

 

 

 

放射線とは、それが物質内を通過する時の相互作用により物質を電離する作用を持った 高エネルギーの(荷電)粒子線及び γ 線や X 線等短波長の電磁波の総称を言います。

 

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 主な放射線とその特徴

 

 

α線(アルファ線)

α線の正体は、ヘリウムの原子核(2個の中性子と2個の陽子)で、ラドン、ウラン、プルトニウム、ラジウムなどの放射性同位元素が自然崩壊するときに放出されます。プラスの電荷を2個持っているために電場や磁場の中を通ると曲がる性質をもっており、物質との相互作用が大きく空気中では数ミリから数センチ程度で、空気分子との相互作用で減衰し、紙一枚程度もあれば遮蔽することができます。

一方、物質との相互作用が大きいため物質を電離する作用が非常に大きいといった特徴があります。

身近な所では、煙感知器にアメリシウム241※が、またアーク溶接棒には点弧の安定化のためにトリウムがふくまれています。

 ※日本では現在ほとんど販売されていない

 

β線(ベータ線)

β線とは高速の電子線で、トリチウム(三重水素)やニッケル63、ストロンチウム90などの放射性同位元素から放出されます。α線よりは物質との相互作用が少ないため物質を透過する能力はα線よりは高く薄い金属板等で遮蔽することができます。

身近な所では、最近は少なくなりましたが蛍光灯のグローランプに安定化のためニッケル63やプロメシューム147が塗布されています。

 

γ線(ガンマ線)

γ線は短波長(高エネルギー)の電磁波で波長が10-10m (100pm) 以下のものをγ線と呼びます。γ線はコバルト60や、セシウム137等の崩壊で発生し非常に透過能力が大きい特徴があります。γ線を遮蔽するには分厚い鉛の板などが必要ですが、逆に透過能力が大きいため透過した物質を電離する能力はα線β線に比べて小さいという特徴があります。

この透過能力が大きい特性を利用して人体深部にできた癌の治療に広く利用されています。

 

X線(エックス線)

X線もγ線と同じく電磁波で、主に波長が10-8〜10-12m (10nm〜1pm)程度の電磁波X線と呼びます。γ線と重複する部分がありますが、原子がα線やβ線を出したあと不安定な原子核から放射される電磁波をγ線と呼び、核の外にある軌道電子のエネルギー準位の変化や人工的に生成された電子線が物質に衝突した時や強い磁場や電場で曲げられたときに発生する電磁波をX線と呼びます。

X線は発見者の名前をとってレントゲン線とも呼ばれることがありますが、ご存知のように医療現場や工業分野で様々なものの透視に広く利用されています。

 

中性子線

中性子線は陽子とほぼ同じ質量で電荷を持たない中性の粒子で、主にウランやプルトニウムの核分裂や宇宙線が地球大気に突入した時の二次放射線として放出されます。中性子は電荷を持たないため物質の透過力が非常に高くγ線を遮蔽するような鉛でも透過する場合があります。一方中性子は水や水素と強く相互作用する性質があるので遮蔽にはパラフィンのブロック等が利用されます。

また高速の中性子は他の物質にぶつかると、普通の放射線を出さない物質でも放射化して放射性にする場合があります。

このように中性子は透過力が高い反面水素原子とよく相互作用を起こすために金属ケースに入った爆発物を検出することが出来るため、空港などでセキュリティのための透視装置に利用されています。

 

 

 

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放射線の強さや量の表し方

 

上記のように放射線には、様々な種類のものがあり同じ一個の放射線を浴びても種類によって影響が違い、さらにそれぞれ同じ種類の放射線でもエネルギーによっても違いがあります。そのため放射線の量をあらわすには色々な方法と単位があるので、単に数字を見るだけでなく単位にも注意する必要があります。

 

Bq(ベクレル)

放射性物質が単位時間あたりに壊変して放出する放射線の数を表す単位。平均して1秒間に1回崩壊して1個の放射線を放出すると1Bqとなる(※)。これは放射線の種類や量に関係なく毎秒1個の放射線を出せば1Bqと定義される。そのため食品の安全基準などで使用される場合は、キログラムあたりのベクレル量で規制される。

※旧単位ではCi(キュリー)が使用され 1Ci=3.7x1010Bq となる

 

Gy(グレイ)

放射線にさらされた物質の単位質量あたりに吸収された放射線のエネルギーを表す単位で「吸収線量」と呼ばれる。1kgあたりの物質に吸収された放射線のエネルギーが1Jのときに1Gyの吸収線量となる。※

※旧単位ではradが使用され 1Gy=100rad となる。

 

Sv(シーベルト)(被曝線量評価のための)

人体への放射線の影響は吸収線量が同じであっても、放射線の種類によって大きく異なることが知られています。例えば、同じ吸収線量であってもα線とγ線(X線)を比較するとα線のほうが約20倍の生物学的影響を与えます。また被曝した部位によっても影響が異なるためそれを全て同じ数値で評価するために考案された量で、吸収線量と放射線の種類とエネルギーで定められた放射線荷重係数、被曝した組織によって定められた組織荷重係数から計算される「実効線量」をSv単位で表示します。注意:この場合のSvは被曝線量人間が被曝した場合にどれだけの生物学的影響が出るかを評価するための実効線量であって、線量計などで表示されるSv値とは少し違うことに注意してください。

 

Sv(シーベルト)(放射線管理のための)

上記したSv単位の線量当量は、実測することが不可能であるので放射線量を管理するために実用的な量として1cm線量当量と70um線量当量が使用されています。これは体表面から1cmと70umにおける線量当量で一般的に線量計で表示されるμSv/h単位の数値は時間あたりの1cm線量当量(H*(10))となっています。

 

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放射線を測定する方法

 

放射線を測定するには、放射線と物質の相互作用を用いて測定します

 

1.放射線の電離作用を利用して測定する方法

2.検出物質の発光(蛍光)を利用して測定する方法

3.検出物質が放射線によって物理的、化学的に変化する変化量を利用する方法

 

1. の方法でよく知られているものは、電離箱、比例計数管、GM(ガイガーミューラー)計数管、半導体検出器等があります。2.はシンチレーターと呼ばれる液体や固体の蛍光体を利用したシンチレーションカウンターがよく知られています。3.はフィルムバッジやガラズバッジとして医療現場などで作業者の積算被曝線量を管理するのによく使用されています。

 

電離箱

ガスを満たした箱に適当な電圧を印加した一対の電極を設置する。そこに放射線が飛び込んで来るとガスが電離され電極間に電離電流が流れる。この電流を検出することによる放射線測定器を電離箱と呼びます。電離箱は構造が簡単で X線やγ線の空間線量率を直接測定出来るためサーベイメーター(一般に1μSv/h〜や300mSv/h程度の範囲で製造されている)、放射線環境の連続監視に使用されるエリアモニターやガスモニターとして利用されている。

 

 

比例計数管

 

 

 

図のように、陰極の円筒電極の中心に張った細線 を陽極にし両極間に電離箱よりも高い電圧を印加する。この円筒電極内に放射線が入射すると両極間の放電で電気パルスが発生するこれをカウントして放射線を測定する測定器が比例計数管である。

電離箱との違いは高い電界によって最初に電離された電子が加速され別の分子をさらに電離しそこで発生した電子が更に別の分子を電離する電子雪崩による気体増倍現象が起こることである。印加電圧と一個の放射線による電離電流(パルス波高)との関係は下のグラフのようになる。

 

 

一次電離で生じた電子が増倍される増倍率が比例関係となる領域を比例計数管領域と呼び比例計数管はこの領域で使用される。比例計数管の増倍率は一般に102〜104となる。

 

比例計数管の特徴は

・検出感度が高い

・波高によってエネルギー分析が可能

・混合放射線の弁別が可能

・電流パルスの持続時間が短いので計数率が比較的高い所で使用できる

などがあります。

 

GM計数管 (例:弊社製 GM-200)

GM(ガイガーミューラー)計数管の測定原理は比例計数管とほとんど同じで印加電圧が高く上のグラフのGM領域で使用される。高感度で安価に製造できるため最も広く普及した放射線検出器です。

比例領域から電圧を増加すると電子雪崩による気体増倍作用に加えて光子の作用による増倍作用も加わり入射放射線のエネルギーに関係なく波高が増大する領域となり、これをGM領域と呼びます。

 

GM計数管の特徴は

・放射線の種類に関係なくGM管に放射線の入射があるとカウントされる

・比例計数管より高感度な検出率

・パルスの持続時間が長く放電後の回復に時間を要するので高計数率の場合数え落としがある(窒息現象)

・分解時間は一般的に10-4秒程度となる

などがあります。

 

半導体検出器(例:エステー製 エアカウンターS)

半導体検出器は、半導体個体内へ入射した放射線による電離作用により発生した電子正孔対の電流パルスを測定するタイプの検出器でSSD(Solid State Detector)固体検出器と呼ばれることもある。

p型半導体とn型半導体を接合させると一方向(p->n)にしか電流の流れが無いダイオードと呼ばれる素子を構成することが出来る。

 

 

 

 

 

 

このダイオードに逆電圧を印加すると、電流を担う正孔と電子が両電極付近に偏るため電流が流れなくなる。この時pn接合の周辺では正孔も電子も存在しない「空乏層(depletion layer)」と言われる領域が形成される。

 

 

この空乏層に放射線が入射すると電離作用により電子正孔対が形成され電流パルスが発生する。また、電流パルスの大きさは空乏層内で放射線が落としていったエネルギーに比例するのでパルスの波高からエネルギーを測定することも可能である。

半導体中に一対のキャリアを生成するためのエネルギーは気体中のそれよりも約1/10なので同一エネルギーの放射線に対して波高は電離箱と比較して10倍となる。また、固体の密度は気体のおよそ千倍であるので単位体積あたりのキャリアもその分多い。従って検出器を非常に小さくすることが可能となっている。

 

半導体検出器の特徴

・検出感度が非常に高い

・分解時間が短いため高線量率の計測が可能

・エネルギー分解能が放射線検出器の中で最も高い

などがあります。

 

このような特徴から、最近最も普及しつつある線量計となっています。

 

シンチレーション検出器(例:堀場製作所製 Radi

放射線が蛍光体にぶつかると多数の分子を励起しそれが基底状態に戻るときに蛍光を放出する。これをシンチレーションと呼びこの光を検出することにより放射線を計測する計測器をシンチレーション検出器と呼ぶ。この蛍光は非常に暗いので測定には通常PMT(Photo multi-plier Tube)やMCP(Multi Channel Plate)等で測定する。

 

 

 

 シンチレーション検出器の特徴

・分解時間が短く高線量率の測定が可能

 

・波高測定によりエネルギー分析が可能

・体積の大きな検出部を作成できるので検出効率を大きく出来る

・検出対象によって様々な材料を利用できるので用途が広い

・液体シンチレーターを用いると低エネルギーのβ線やα線の測定が可能

などがあります。

 

その他の検出器

 ここまでの検出器は実時間での放射線量の検出器でしたが、この他によく利用されるものとして放射線作業従事者の被曝線量管理をするために被曝積算量を測定できる検出器があります。

蛍光ガラス線量計は銀活性リン酸ガラスに放射線を照射すると発光中心がガラス内に生成され蛍光作用を持つようになることを利用した空間線量の積算値を測定することが出来る検出器です。他に同様の積算線量を測定する測定器として昔から利用されているものにフィルムバッジ、ガラス線量計などがあります。

 

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用語解説

 

  只今工事中  只今工事中